爪が上向きに反り返る スプーンネイルとは
正常な爪は、真ん中の部分が緩やかに膨らんだ形をしています
ところが爪の中央部分がへこんで上向きに反り返りスプーンのような形になることがあります。これを「スプーンネイル」などと呼びますが、ここではこのスプーンネイルについて見ていきます。
スプーンネイルとは
スプーンネイルは、匙状爪甲(さじじょうそうこう)またはネイリスト検定ではコイロニキアという名称で出てくる爪の病気のひとつです。
主な症状としては、指の腹側からかかる力を爪が支えきれなくなり反り返るというもので、力がかかりやすい手の親指、人差し指、中指によくみられます。正常な爪は両端が皮膚とつながっていますが、様々な要因で爪を支える力が弱くなると指の腹側からの力によって、爪が反り返るようになるのです。年齢問わず誰にでも起こりうるものですが、男女比でいうと女性に多くみられます。また裸足で過ごすことが多い子どもは、足の親指に匙状爪がみられることもあります。痛みを伴うことはありません。
スプーンネイルの原因
スプーンネイルの原因はいくつかあります。
○貧血、鉄分不足
体内からのサインとしてスプーンネイルの症状があらわれることがあります。
それは鉄分不足、貧血です。爪はカルシウムやケラチンなどでできていますが、爪を作る栄養素の中でも大切なのが鉄分なのでこれが不足すると爪が弱くもろくなってしまいます。めまいや顔面蒼白などがある鉄欠乏性貧血の方は、スプーンネイルになりやすい傾向があります。
○爪の切り方
爪の切り方がスプーンネイルを引き起こすことがあります。
特に爪の両端を短く切りすぎてしまうと、指の腹から加わる力に爪が耐えられなくなるため、形が変形することがあります。また、爪噛みや深爪で強度が保てなくなっている場合にもみられます。この場合は、正しい爪の切り方を身に付けることや爪を噛まないようにすることで解決することがあります。
○爪に強い力がかかっている
職業柄、指先をよく使う大工さんや常に重いものを運んでいる引越業者、草むしりなどで指先を酷使する農家さんなどは指や爪にかかる負担が大きいので、スプーンネイルになりやすいと言われています。特に、作業に使われることが多く力が入りやすい手の親指、人差し指、中指に現れることが多いです。
○爪が薄い
赤ちゃんやこどもにもスプーンネイルがみられることがあります。
赤ちゃんや小さいこどもは爪がとても薄いので、外からの力に弱くスプーンネイルになりやすいのです。しかしこの時期のスプーンネイルは異常ではないので、赤ちゃんやこどもが痛がらないようであればそのまま様子を見ましょう。爪は成長とともに厚く強くなっていくので、次第に正常な爪に成長します。素足で遊ぶこどもも同様で、足の指から加わる力に爪が耐えきれないため、足の爪がスプーン状に変形することがありますが、靴を履くようになると次第に正常な爪に戻ります。一過性なことがほとんどですが、もし赤ちゃんや子どものスプーンネイルで気になることがあれば専門機関へ相談してみましょう。
また大人でも爪が薄くなっているとスプーンネイルになりやすいので注意が必要です。
ジェルやスカルプを繰り返したり体調不良によって爪が弱くなることがあるので、爪の状態を良く確認するようにしてください。
スプーンネイルの治療方法
まずはスプーンネイルの原因を明らかにしましょう。その要因を取り除くことで、スプーンネイルは改善していきます。
鉄欠乏性貧血の場合だと、鉄分の多い食事を意識したり、薬を服用することで治療・予防することが可能です。爪の両端を短く切りがちな人は、爪の切り方を変える必要があります。
両サイドまで深く切る「ラウンド」だと強度が保ちづらいため、「スクエア」「スクエアオフ」を意識して、爪の両サイドを切りすぎないようにしましょう。また、深爪にならないよう白い部分を少し残して切るようにします。お子さんで爪噛みの癖がある場合は、言葉がけを行って他に気を向けてあげたり不安を取り除いてあげることで改善していくこともあります。
仕事柄爪に強い力がかかってしまう方は、特定の指だけに負担をかけないようにしたり手袋で保護をするなど、なるべく爪へのケアをするようにしましょう。小さなお子さんの場合は一過性なことがほとんどですが、もし赤ちゃんや子どものスプーンネイルで気になることがあれば専門機関へ相談してみましょう。
爪の形が反り返ってしまい見た目も気になってしまうスプーンネイルですが、ネイルの施術はできるのでジェルやスカルプなどで正常な爪と同じような膨らみを出すことが可能です。
ネイルで見た目をカバーしつつ、しっかりと原因を突き止めて改善できるよう治療を進めていきましょう。気になることは自己判断せず、医療機関に相談するようにしてくださいね。